
読もうと思ったきっかけ
B2Bマーケティングを業務として展開しており、どのようなテクノロジーがあるのかを知りたくて購入しました。
ここに記載されているツールの中から自社のマーケティングに生かすことができるツールがあれば、利用を検討したいという目的もありました。
本を読んだ感想
B2Bマーケティングの肝はパーソナライズ
GoogleはGmailにてスパム(迷惑メール)ポリシーを改訂し、開封率の低い送信元への対策を強化したり、検索アルゴリズムを定期的にアップデートしたりしています。
1対nという一見効率的なアプローチが普及したことの揺り戻しとして、今度は「1対1でどれだけパーソナライズされたアプローチをできるか」ということが重要になってきているわけです。そうした背景から、個社に最適化されたアプローチとして、ABM(アカウントベースドマーケティング)という概念も重要となってきており、狙った1社から受注を獲得するためのアプローチ手法やセールステックツール、職種が生まれています。
プライベート用、ビジネス用のメールアドレスともにメールの受信数がとても多く、すべてのメールを読むことができていません。(読んでいません、の方が正しいかもしれません。)
人それぞれかと思いますが、私の場合は送信元のアドレス、もしくは件名を見て気になるものを開封してメール本文を見るようにしています。
私は業務で顧客へメールを配信することがありますが、メール件名はいつも意識して送るようにしています。自分自身がメールの件名を見てメールを読むかどうか決めているからです。(メール件名だけではなく、ターゲット、メール内容、コンテンツなどももちろん考えています(笑))
メール受信数が増えることで、書籍に記載されているようにスパムとして扱われるということも出てきました。顧客のためになると思って送っているメール(情報)がスパム(迷惑)メールとして受信されている、これほど寂しいことはないと思います。
個人的には、自分が企画して顧客へ送付したメールでメール配信停止依頼を受信したときが一番反省すべき時だなと感じています。(もちろんそれだけではないのですが)
メール配信後にメール結果を見ていつも反省(振り返り)をしています。ターゲット、件名、メール本文どこが良かったのか、悪かったのかを中心に振り返っています。
過去振り返りしてきた経験から書籍に記載されているようにパーソナライズすればするほど顧客の反応はいいかなと思います。
一般的によく考えられるポイントは以下と考えています。
- どういう切り口で企業を考えるか(会社規模、業界、契約状況など)
- どういう切り口で個人を考えるか(部署、役職、所掌など)
それぞれ切り口に対してどこまでターゲティングとして細分化するか、細分化すればするほどメール送付前に準備が必要となりますので、どこまで細分化するかがとても重要だと思います。
この細分化するポイントを自社ならではの視点として見つけることができればマーケティングの有効性も高まると考えているため、このような点を意識しながら日頃業務に取り組んでいます。
B2Bマーケティングの成果を可視化するセールスベロシティ
日本企業ではまだ、指標としては見られることが少ないですが、欧米企業、特にアメリカではセールスベロシティ(Sales Velocity)という案件回転の指標や、リードタイムをどれだけ短縮できるかという指標を重要視しているケースが多くあります。
恥ずかしながらこの本を読んで初めて「セールスベロシティ」という言葉をはじめて知りました。少しだけ調べたところ、「セールスベロシティ」とは以下のことのようです。
セールスベロシティとは、営業活動の効率性を数値で示した指標のこと。セールスベロシティはリード数、成約率、平均取引時間、平均商談時間の4つの要素から構成。
セールスベロシティ = (リード数 × 成約率 × 平均取引額)/ 平均商談期間
それぞれの単位を考えるとリード数は件数、成約率は割合(%)、平均取引額は金額(円)、平均商談期間は日となり、この数値が高ければ営業活動としての効率性を可視化することができます。
例えば、成約率は高いが平均取引額・平均商談期間が小さい取組と成約率が低いが平均取引額・平均商談額が大きい取組を可視化すると以下の通りとなります。
マーケティング視点でリード数、成約率だけで判断してしまうと施策Aを選択してしまいたくなりますが、全社視点(セールスベロシティ)で判断すると施策Bの方が効率の良いことが分かり、マーケティング視点の施策Aだと効率の悪い取組を優先してしまうことになります。
私自身、現業でセールスベロシティを意識した可視化ができていないので、今後意識していきたいなと思いました。
施策 | セールスベロシティ | リード数 | 成約率 | 平均取引額 | 平均商談期間 |
A | 55,556 | 10件 | 50% | 100万円 | 90日 |
B | 333,333 | 20件 | 10% | 3000万円 | 180日 |
出典:セールスベロシティとは|営業活動において大事な指標とされる理由は?
セールスベロシティを可視化するうえで悩ましいと感じるのは、自社のサービスは商談期間が比較的長いものが多く、受注に至るまでの管理が難しいことです。そこをどうやって管理していくかがポイントになると思いました。
顧客視点を忘れてはいけない
関係性のない状態から顧客へアプローチをしていくことを考えると、顧客の機微を捉えた最適化など、営業パーソンとして人間的な部分が強く求められる側面があります。アプローチのシナリオを考えたり、相手の趣味嗜好に合わせたメッセージを送ったり、凝った工夫をできる専門的なBDRは今後、その価値がより高くなっていくでしょう。
B2Bマーケティングを展開していくうえで関係性のない状態の顧客へアプローチすることは必要不可欠だと思います。事業を拡大するうえでアップロセル・クロスセルで拡大していくこともあるかと思いますが、新規顧客開拓ができないと拡大にも限界が出てくると思います。
1社1社に対して丁寧に現状を可視化し、戦略を立ててアプローチをして結果的に良い結果が出たとしても、1社1社丁寧にアプローチすると効率が悪く、マーケティングという視点で見たときにアカウント営業ではないので、これでよいのかと不安になることがあります。
- どの単位でセグメントにするのか
- そのセグメントに対してどのようなアプローチをするのか
- アプローチの結果、成果は出ているか
成果を出すために一番良いセグメント・アプローチを見つけることは、自社にとっていつまでも課題になる気がしています。
成果として重視しないといけないのは顧客のために必要な情報を届けることができた結果となっているかどうか、ここだけは絶対に忘れないようにしたいと思います。
読んで得た気づき
パーソナライズの重要性を改めて再認識しました。パーソナライズはすでに実践しているのですが、なかなか正解にたどり着くことができず、常に悩んでいます。
セールスベロシティというキーワードはこの本を読んで初めて知りました。日頃の業務でもこれまで収益、受注、商談数などは意識していたのですが、セールスベロシティに関連するキーワードも意識するようになり、業務としても進化につなげることができたかなと思います。
この本を読んで新たなツールの検討もしたいという目的を持っていましたが、すでに自社で実装しているツールである程度網羅できていることが分かりましたので、今利用しているツールを使って、どのように進化させていただくかというところに注力していくことに決めました。
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