
読もうと思ったきっかけ
私は現在IT企業のマーケティング組織に所属しており、B2Bマーケティングを業務としています。
具体的な業務内容は、組織内マーケティング施策の企画立案・運用、インサイドセールス統括、メールマーケティングなどです。
B2Bマーケティングの目的は自社の増収(もちろん顧客の事業への貢献もあります)。増収のためには受注が必要、受注のためには商談を作る必要があります。(当たり前のことをすいません・・・)
商談を作るためには、様々な取り組みを行う必要がありますが、最近Webinar視聴やSNSなどを見ていると「インテントデータ」というキーワードを目にする機会が増えてきました。
「インテントデータ」を活用する「インテントセールス」というワードがあることを知り、具体的にどのようなことなのかを理解したくて、この本を購入しました。
また、現在私は業務上自社のマーケティングを強化に向けてインテントデータの有効性を検証するため、この書籍で紹介されているSales Markerを利用していますので、Sales Markerの活用方法を知りたいという目的もありました。
Sales Markerとは、インテントデータを搭載したターゲティングツールであり、部署情報やキーマン情報も持っているデータベースツールです。(他にも機能がありますが、気になる方はSales Marker社へ問い合わせください)
本を読んだ感想
USPが整理できていなければ、良質なインテントデータは取れない
注意が必要なのは、「単なるインテントデータの使用=インテントセールスの実現」ではないということです。せっかく取得した顧客インテント(興味関心)を適切に活用して真に顧客を理解することにつなげなければ、意味がありません。 インテントを表面的に捉えて誤ったアプローチをしてしまうと、実際の成果につなげることはできないのです。インテントセールスが本来持つ効果を得るためには、正しい手順、やり方を取る必要があります。
Sales Markerを利用することで容易にインテントデータを取得することができます(できました)。Sales MarkerはWeb検索されたデータをもとにシグナル(スコア)を可視化します。
Web検索されたデータは、自分自身で好きなキーワードを設定することが可能です。
例えば、 「書評」、「書評ブログ」などの1単語を設定することもできますし、 「書評 マーケティング」、「書評ブログ マーケティング」というように2単語をセットでキーワードを設定することも可能です。
当たり前ですが、それぞれの単語でWeb検索されたときに表示される検索結果(数)が異なりますので、どういうキーワードを設定するかがとても重要です。
Sales Markerの営業からシグナルを可視化するために、どういう考え方でキーワードを設定するとよいかコンサルティングはしてくれますが、自社サービスのUSPに関連するキーワードを設定する必要がありますので、会社としてUSPをしっかり把握しておく必要があります。
USPとは「USP(ユニーク・セリング・プロポジション)とは自社製品やサービスが持つ独自の強みや価値を指すマーケティング用語」(※Googleで「USP」と検索した時のAIによる概要)のことです。
マーケティングを勉強しているとUSPやSTP、3Cなどいろいろな用語が出てきますが、基本を抑えてオペレーションを行うことが本当に難しいと感じています。書かれていることは理解できても業務に落とし込むのがとても難しい。。。
業務に落とし込む事例(手法)が書籍にまとめられていても、自社で同じように業務ができることはほぼない(と思っています)ので、自社に合わせて業務を設計(カスタマイズ)する必要があります。
ここが一番難しいと感じています。
自社ならではの業務設計を行うためには、仮設検証を何度も繰り返し行う必要があります。
現在、自社に合った業務設計を行うためにTobeを考えて日々仮説検証を繰り返しています。
自社サイトだけでは顧客の購買ステップを十分にカバーできない
米ガートナー社の調査では、購買ステップの約50%の時間はサードパーティの情報源からの情報収集に費やされており、その多くがWeb上でのリサーチであるとされています。
インターネットが普及する前はリアルでの購買が基本でしたが、インターネットやスマートフォンが普及することで、社会のデジタル化が進み、今ではインターネットで事前に検索して調べず購入することはほとんどないのではないかと思います。
このガートナーの調査から約50%の時間がサードパーティで情報収集していることがわかるので、サードパーティのデータを使いこなすことができるかが肝だと思っています。
ここでいうサードパーティとは、当事者ではない第三者のことです。(※Googleで「サードパーティ」と検索した時のAIによる概要)
私の勝手な解釈ですが、自社でとれるデータ(ファーストパーティデータ)は限られています。顧客の興味関心に合わせてすべてのコンテンツを網羅することはほとんど不可能だと考えています。
もちろんできる限りのデータを取れるように努力すべきだとは思いますが、顧客がすべてのデータを1つのサイトだけですべての情報を収集することは考えられませんので、サードパーティが提供するデータの活用が重要です。(サードパーティだけではなく、セカンドパーティを使うという解決方法もあると思います)
Sales MarkerはWeb検索されたデータをもとにシグナル(スコア)を可視化するサービスのため、自社サイトのみでとれるデータに加えて、第三者が提供するデータも利用可能となります。
KGI/KPIを達成するために取る必要があるデータは何なのか?
自社のサイトでだけで十分なデータは取れているのか?取れるのか?
十分なデータが取れないのであれば、インテントデータ(サードパーティ、セカンドパーティ)の検討をしてみてもいいのではないかと思います。
バイヤージャーニーを起点としたプロセス設計が重要
インテントデータから、顧客がバイヤージャーニーのどのフェーズにいるかを推定し、アプローチするための優先順位付け(スコアリング)を行うことです。ただし、検索キーワードや閲覧ページなどのインテントデータをただ確認するだけでは、顧客のフェーズを的確に推測することはできません。企業ごとの「検索キーワード」「検索の鮮度」「検索のボリューム」「サイトの種類」「閲覧の順番」の5つを複合的に分析することが重要です。
バイヤージャーニーやカスタマージャーニーなど、マーケティングを展開するにあたり、顧客起点でアプローチするためにこういったキーワードをよく耳にします。
バイヤージャーニーとカスタマージャーニーの違いは以下の通りです。
バイヤージャーニーとは、B2Bの顧客が商品やサービスを認知してから購入に至るまでの一連の流れのこと。バイヤージャーニーはカスタマージャーニーに包含される概念。カスタマージャーニーはBtoBに限定されず、顧客の認知から購入までの流れに加えて、購入後の継続や再購入の流れも含めた、より広い概念を表すために用いられる。
バイヤージャーニー、カスタマージャーニーともに共通しているのは、顧客起点に立ったアプローチをするということ。
私の業務で考えると、私の会社では複数のサービスを提供していますので、各サービスごとにバイヤージャーニーを作ってアプローチを仕掛けて・・・みたいなことになります。
しかし、バイヤージャーニーをフォーマットに沿って考えるということはできるのですが、考えたジャーニー通りにプロセスを設計して、運用していくのが難しいなと思います。(机上で書いたジャーニーが1回目で正解・成功するということもなかなか難しいと思っています)
また、B2Bマーケティングの場合、トップダウンで急に商談ができる可能性もあり、バイヤージャーニー通りに進まないということもあり、結局どうするとよいのかいつも悩んでしまいます。
インテントデータを単純に確認するだけではなく、書籍に記載されている5つを複合的に分析する必要があるとのことですが、効果的なアプローチをするためにインテントデータはあくまでアプローチするための1手段に過ぎず、他に考えるべきことがたくさんあり、それらを統合的にまとめたどう対応していくのかがとても難しいです。
ただ、実行して振り返らないことには進化することはないので、仮設検証を繰り返して進化を目指す(実現する)そんなことをいつも業務で意識しながら仕事をしています。
読んで得た気づき
インテントデータを使いこなすためには、バイヤージャーニーの設計、USPの整理など基本的なことから考えていく必要があることを知りました。
Sales Markerを使ってインテントデータを単に可視化して確認するだけでは意味がなく、5つの視点で複合的に分析する必要があります。
私は5つの視点で複合的に分析することはマーケティングアプローチ全般がしっかりと整理できていないと難しいのではないかと感じました。
例えば、「検索キーワード」を分析するためにはUSPの整理が必要ですし、「検索ボリューム」を分析するためにはプロモーションができている必要があります。このようにマーケティングアプローチが全般的に計画立ててできていないと複合的な分析もできないと感じました。
結論としては、インテントデータを活用することは有益かもしれませんが、マーケティングアプローチ全般において、どういう観点でインテントデータを活用するかを考え、インテントデータから得られる情報をもとに複合的な分析ができるようにマーケティング計画を立てておくことが必要だと思いました。
B2Bマーケティングの深化においてとても勉強になりました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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